天と地の違い。華美な装飾を避けて
シンプルに仕上げるのが、日本建築の特徴です。
その代表例が茶室建築でしょう。
草庵風の茶室などはきわめて清貧簡素で、意匠といえば床の間と下地窓がある程度です。
ただし、例外なのが天井の造り。
玄関口の上は勾配のついた「草の天井」、客畳の上は高い「真の天井」、
主人の道具畳の上は少し低い「行の天井」と三区分され、
その形状も材料もみな趣向が凝らされています。
大げさにいえば、まさに天と地の違い。


日本人はとくに天井に心を配り、材料にも意を用いてきました。
このような伝統は、今日の和風住宅にも引き継がれています。
たとえば、天井高に対するこだわりもその一つ。
一般に洋間は高い天井が好まれますが、和室は天井が高すぎると落ち着きを失います。
和室の場合、部屋の大きさに合わせてそれぞれ天井高を変化させ、
計算されたくつろぎ空間を生み出します。

洋室は垂直方向、
和室は水平方向が
空間の広がりを決定します。

洋室で高い天井が好まれるのは、英語の天井を意味するシーリングという単語がラテン語の
「空」からきていることからもわかります。和室で大切なのは、天井より窓の高さ。部屋のサイズが
狭くなればなるほど、窓や天井を低くする方が、空間の広がりを感じ落ち着きます。つまり、洋室は
垂直方向、和室は水平方向への広がりが、空間の圧迫感を解消してくれる大きな要素なのです。
和・洋が混在する住まいにとって、天井も大切なポイントになりつつあります。



天と地の違い